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北村 歳男 -治療内容-


肩関節脱臼の治療について


10歳代の初回の肩関節脱臼と反復性肩関節脱臼について

保存療法:外旋位固定法による関節唇修復法
新しいタイプの装具(スポーツ選手のために)の紹介


反復性肩関節脱臼の手術について

手術:肩関節鏡による関節唇縫合と観血的制動術(Lataget 変法)
手術後のリハビリテーションが重要です


当院はこれらの点を網羅して治療し、
学会発表や論文として報告しています。

(初回脱臼の保存療法について)
肩関節は、手指の小さな関節を除く大きな関節の中では最も脱臼しやすい関節です。
熊本県ではハンドボールやラグビーなどのスポーツが盛んであり、中学生 高校生などの若い年代の子供たちにはしばしば肩が脱臼します。肩の脱臼を整復し、その後は通常三角巾による固定で安静を3週間ほど行う治療が一般的です。しかしながら、ここで注意すべき点があります。若年者の反復性脱臼の問題です。10歳代の若い年代の子供たちに肩関節の脱臼が生じると、三角巾による安静を3週間保っても65%-100%の大変高い確率で、いわゆる‘肩がはずれ易くて癖になる’反復性脱臼に移行してしまうことが知られています。なぜ10歳代に多いのかその疑問について確定的な原因は分かっていません。若い年代に肩関節の不安定性を抱え込むことは大きな問題です。長年危惧されてきたこの問題に対し、当院では、脱臼後に速やかに検査を行い、反復性脱臼に移行する可能性について調査し、外旋位固定法という三角巾固定とは異なる姿位で固定を行い、損傷した関節唇を修復する新しい考えの治療を現在行っています。この方法は東北大学の井樋教授が考案されたものです。当院では更に工夫を行うことによって反復性に脱臼する割合をこの6年間を通して10%程度までに抑えることに成功しています。できるだけ手術をしないで済むように外来での治療を熱心に行っています。

(繰り返す肩関節脱臼の手術について)
しかし、残念なことにすでに繰り返し脱臼する状態で来院される患者様も多くいます。そして手術が必要な場合もあります。手術には関節鏡で原因となる関節唇を縫合する方法と烏口突起を肩甲下筋下の肩甲骨に移行し脱臼を制御する方法があります。
当院ではいずれも行っています。どちらの方法にも術後のリハビリテーションは大事です。
この疾患は学生さんが多いこともあり 授業にさしつかえが出ないようにするため、リハビリ通院できる方は、1-2週程度で退院することが可能です。

(脱臼予防装具について)
スポーツ選手では 手術を行うことで重要な試合に間に合わないというケースもたびたびあります。たとえば、私どもの昨年の経験を示します。北京オリンピックの○○○ボール予選期間中に肩が脱臼し、その後頻回に脱臼するため試合の続行が困難となってきた中心選手がいました。新聞でしばしば肩の故障について記載されてきました。オリンピック予選の期間中であるため次々重要な国際試合があり、手術しては到底間に合いません。日の丸を背負う選手のため各地の医師に意見を求めましたが解決が見つかりませんでした。そのため当院で10年前より開発を進めてきた装具を着用しました。幸いにも着用後は装具によって脱臼の怖さを克服され、最終予選までをフル出場されて活躍されました。全国放送でたびたび試合中継がされていましたが、どの選手が装具を装着していたか分からなかったと思います。試合が一段落した時点で手術をされました。しっかりリハビリをされて手術後4ヶ月で全日本に復帰しています。このようなトップクラスのケースでは治療する私どもも胸をなでおろしています。中体連や高校総体などの前にはこのような出来事はたびたびあります。女子生徒の中には 今回の試合だけに出させたいが手術はさせたくないという親御さんたちもいます。そのためいざというときのために装具の着用は患者様の状況に応じて対処しています。しかし、装具を使用したからといって100%脱臼を予防できるものではありませんのであらかじめご了承下さい。